なぜ朱棣はすでに非常に良い仕事をしているのに、多くの人々が朱標が死ななかったらどれほど良かったかを残念がっているのか?

朱棣の仕事ぶりは確かに素晴らしかったが、朱標が持っていた資本と比べれば乞食同然だったと言える。少なくとも次の三つの点において、朱標は絶対的な優位性を持っていたと思う。

まず朱標は天下の英才を自由に使えた。二代目君主にとって最も重要な能力は威圧ではなく統治力だ。朱標は誰もが認める次期皇帝で、文武の将帥を抑えるだけでなく、20人以上の弟たち全員から支持されていた。封建王朝では極めて稀な現象だ。朱標が存命なら朱元璋が功臣を大量粛清する必要もなく、明王朝の実力は明白だった。貞観の治ほどの高みに達したかどうかは別として、少なくとも表向きは李世民と同じレベルの専門家チームを保持できたはずだ。しかもその配置はより高度だった。

第二に朱標の政権はより安定していた。朱標は藩王の力を削がなくても安定統治が可能で、根源的に藩王の乱を防止できた（いずれ藩王問題に直面する必要はあったが）。もし藩王削減を決行する場合でも、実行コストは朱允炆や朱棣よりはるかに低く、国力への影響も小さかった。

第三に朱標の子孫の質が高かった。後世から全知の視点で朱允炆を見ると、この皇帝は無能だと思われがちだ。しかし南京城が陥落した時、彼はわずか24歳。大学院進学を考える年齢だ。普通の人間が24歳で何をしているか考えてみてほしい。女の子を追いかけ回し、就職活動に奔走し、スマホ購入資金を貯め、FBIにマークされるようなことに忙しい年頃だ。その年齢で朱允炆は世界最強の帝国を4年間も統治していた。この4年間で彼は藩王削減による朝廷統治の堅持、文武百官を率いて強力な叔父たちとの死闘、文人優遇政策と刑罰緩和による朱元璋時代の過酷な政策の改革、さらに宣府より北に新長城を建設する計画（考古学的に実証済み）を推進していた。24歳の政治初心者に対して、これ以上を求めるのは酷というものだ。建文帝にも幼稚で愚かな面はあったが、朱棣の三人の息子、特に朱高煦と比べればまだましだった。少なくとも精神は正常だった。

また見逃せない点として、朱允炆が必ずしも帝位を継承できたわけではないという事実がある。朱標には5人の息子がいたが、朱允炆は庶長子に過ぎない。朱標が37歳で亡くなった時、仮に平均寿命の50歳まで生きていれば、さらに5人ほど子供を作るのが普通だろう。そうなると朱允炆の継承可能性はさらに低下する。

朱棣側の唯一のアドバンテージは朱瞻基だけと言える。しかし当時朱標の子孫は朱棣によって徹底的に弾圧され消息不明状態だったため、両系統の潜在力を客観比較することは不可能だ。しかも朱棣系からは朱祁鎮のような「千古の奇才」も出ており、一代で朱棣系全子孫の平均点を引き下げる偉業を成し遂げている。

総合的には、やはり朱標系統の方が失敗許容性が高かったと言えるだろう。

【主要人物比較表】
 

【皇族能力評価（推定）】
 

（注：数値は史料に基づく推定値、100点満点評価）