楚州按撫使：宋江が70人以上の兄弟の犠牲で得た官職、現代ではどの位の地位に相当する？

宋江について言えば、実に複雑な人物である。この男は色黒で背が低く、やや肥満気味の風貌を持ち、四大名著の中でも最も好まれない外見の一つだが、決して「天撅星（悪運の星）」のような存在ではない。血の通った人物像を描く中で、歴代の宋江演じる者の中で最も深く人心に刻まれたのは、個人的には鮑国安先生の演技だと考える。

もちろん、詔安（朝廷への帰順）という決断には利害が伴い、これが宋江が非難される根本的な原因となった。宋江が楚州安撫使という高位の官職を得たにもかかわらず、梁山泊では前後70人以上の兄弟が犠牲になった。では、この宋江の官位を現代の尺度で測るとどれほどのものだろうか？実に不思議な話なので、以下で詳しく述べていこう。
 

【表1：宋江の官位変遷】
 

鄆城の小役人時代から正三品の高官へと上り詰めた宋江の人生は、まさにドラマチックである。そもそも鄆城の押司とは県令の秘書職に相当し、公式の品級はないものの、田畑管理や税収業務、民事調停など実質的に県政の第二把交椅として機能していた。当時の官吏制度では「官」と「吏」が厳格に区別され、宋江は「吏」に属していたが、その影響力は正七品の県令を凌ぐものさえあった。

【表2：宋代地方行政体系】
 

しかし閻婆惜事件が人生の転機となる。文書入りの袋を紛失したことがきっかけで殺人を犯し、逃亡生活を余儀なくされる。この時、梁山泊の晁蓋が援助の手を差し伸べるが、父・宋太公は息子に再び官吏への道を歩ませようとする。この父子の確執が、後の詔安志向に深く影響することになる。
 

【表3：梁山泊主要メンバー】
 

詔安後の悲劇は劇的だ。梁山泊軍は征遼・田虎討伐・王慶討伐・方臘討伐という四大戦役で次々と人材を失う。特に方臘討伐では60人以上が戦死し、最終的に108人中70人以上が命を落とす。皇帝に引き抜かれた安道全の存在が、この異常な死亡率を説明する要素となっている。
 

【表4：主要戦役データ】
 

楚州安撫使という地位は、現代中国の省委書記兼軍区司令に相当する権限を有していた。管轄区域である淮南東路（現在の江蘇省北部）では行政・軍事の全権を掌握し、反乱鎮圧の際には「先斬後奏」（事後報告で済ませる特権）が認められていた。当時の「路」は現在の省に相当し、全国23路に分割されていた行政区画において、宋江は文字通り「地方の皇帝」とも言える立場を得たのである。
 

【表5：宋代行政区画比較】
 

しかしこの栄光は長続きせず、高俅ら奸臣の策謀により、宋江は最終的に毒酒を飲んで自害する。彼の最期は、李逵を道連れにすることで梁山泊の反乱の芽を摘むという、矛盾に満ちたものだった。詔安の動機には、父からの圧力と「九天玄女」からの啓示が複雑に絡み合っており、単純な善悪では割り切れない人物像を作り上げている。

四大名著の主人公たちと比較すると、宋江は「孝」と「義」の板挟みになりながらも時代の渦に飲み込まれていく悲劇性が際立っている。このキャラクターの複雑さこそが、『水滸伝』を単なる勧善懲悪物語ではなく、深い人間ドラマに昇華させる要素となっているのである。