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宋代に関する面白くてマニアックな雑知識とは?

宋太宗は毒薬の達人だった。皇帝になる前から薬の処方を研究し、数千種類の医薬単方集を収集していた。南唐の後主李煜らを毒殺した「牽機薬」は、服用すると全身が痙攣してエビのように丸まりながら死ぬ。後の研究でこれはマチン(馬錢子)の主成分ストリキニーネとブルシンによる中枢神経破壊作用と判明。

華夏の歴史鏡鑑華夏の歴史鏡鑑

宋太宗は毒薬の達人だった。皇帝になる前から薬の処方を研究し、数千種類の医薬単方集を収集していた。南唐の後主李煜らを毒殺した「牽機薬」は、服用すると全身が痙攣してエビのように丸まりながら死ぬ。後の研究でこれはマチン(馬錢子)の主成分ストリキニーネとブルシンによる中枢神経破壊作用と判明。百年後、徽宗が倉庫で大量の毒薬を発見し「重罪人でも正式な刑罰を」と廃棄させたエピソードは皮肉だ。

【毒薬データ】

 

毒薬名

成分

作用

使用事例

牽機薬

ストリキニーネ

中枢神経破壊

李煜毒殺


『水滸伝』の黒店描写は誇張ではない。『夷堅志』に「客が寝ると槍で刺し、衣服を奪い肉を干物に」「生きたまま地中に埋める」との記録。当時の旅籠はまさにサスペンスの舞台だった。

食品偽装も日常茶飯事。開封の魚市場では腐敗防止に糞尿漬け、上海(当時華亭)では酒瓶1斤・水1斤・瓶1斤の「三斤詐欺」が流行歌に。政府専売の酒税は国家歳入の40%を占め、現代のタバコ税並みの重要財源だった。

【物価比較表】

 

品目

価格

備考

高級茶

40貫/餅

家一軒分

酒宴

30貫/回

高級妓女同伴

朝食

20文

土地1畝 = 300文


官僚の収入は歴代最高で、漢代の10倍、清代の2 - 6倍。司馬光の官職名は「端明殿学士兼翰林侍読学士...(計78字)」と長大で、現代の「〇総」呼びが可愛く見える。

女子相撲人気は止まらず、正装は露出度高いスポーツウェア。仁宗は「眉毛剃り」ファッションを流行らせ、後宮では3尺(約90cm)の白角冠が車に乗れない事態に。当時のトレンドは常識破りだった。

【風俗データ】

 

項目

詳細

女子相撲

公式試合前座、薄着が定番

産後料理

胎盤の五味煮

僧侶ビジネス

妻帯可、金融業で富豪に


租税制度もユニークで、首都戸籍取得7年で受験資格。公営住宅「店宅務」は月4貫、岳飛は38室を1.43貫/日で貸し出し。現代の大家顔負けの不動産経営者だった。

詩人たちの意外な素顔も明らかに。范仲淹は60歳の愛人に「相思を慰む好顏色」と胭脂を贈り、柳永は「師師・香香・安安と四股掛け」と艶福を謳歌。欧阳修の官能詞『醉蓬莱』は現代でも通用するラブソングだ。

最終的に、宋朝の実像は公式記録よりも市井の記述に生き生きと残っている。偽装食品も黒店も、奇抜なファッションも、全てが当時の活気ある社会を物語る断片と言えよう。歴史の教科書には載らない「本音の宋代史」は、現代人にも驚きと共感を呼ぶに違いない。


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