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正二位総兵官 vs 正四位道員:権力と格付けの頂点はどちらに?

清代の正二品総兵と正四品道員、どちらが権力・地位で上か?各省緑営(漢人部隊)の武職は品級が全体的に高いため、実質的価値が低下していた。緑営システムの官職体系は上から順に、提督(従一品)、総兵(正二品)、副将(従二品)、参将(正三品)、遊撃(従三品)、都司(正四品)、守備(正五品)、千総(正六品)、把総(正七品)、外委千総(正八品)、外委把総(正九品)、額外外委(従九品)で、未入流は設置されていない。

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清代の正二品総兵と正四品道員、どちらが権力・地位で上か?

各省緑営(漢人部隊)の武職は品級が全体的に高いため、実質的価値が低下していた。緑営システムの官職体系は上から順に、提督(従一品)、総兵(正二品)、副将(従二品)、参将(正三品)、遊撃(従三品)、都司(正四品)、守備(正五品)、千総(正六品)、把総(正七品)、外委千総(正八品)、外委把総(正九品)、額外外委(従九品)で、未入流は設置されていない。

緑営最高責任者である提督は総督(元品正二品)や巡撫(元品従二品)より品級が高いが、実際には督撫の統制下に置かれた。このため品級の高低は意味を失い、提督の実権は一品官の格式にふさわしくなかった。清代の地方官制は明代を継承し「大で小を制し、文官で武官を制す」原則を採用。これにより高品級の緑営武官でも文官の統制を受ける状況が生じた。

緑営高品級武職(都司以上)の数は文官を圧倒していた。正従三品級では、一省の文官は按察使と塩運使の2名のみであるのに対し、参将・遊撃は数十人に達した。同品級でも武職の価値は文職に劣る。

職務権限面でも武職は文職に及ばない。正四品の都司は一営(数百人規模)を統率するのみで、実権は正七品の知県にすら劣る場合があった。ただし知府以下の文官が緑営を統制する権限を持たないため、都司は知県に対して品級上の優位性を保っていた。

【緑営武職品級表】

 

品級

官職名

定員(全国)

従一品

提督

14名

正二品

総兵

83名(陸路70・水師13)

従二品

副将

約150名

正三品

参将

約200名

従三品

遊撃

約400名

正四品

都司

約500名


総兵(正二品)と道員(正四品)の比較:

第一に官職の格付けでは総兵が上。総兵の官欠補充は皇帝直轄の「開列」方式を採用し、特に雲南普洱鎮など5総兵は正・陪候補者を皇帝に直接引見する厳格な手続きを要した。道員の官欠は大部分が開列だが一部は督撫の推薦で補充されるため、総兵より格下とされる。

第二に実務権限では道員が優位。「文官優位」の原則の下、道員は「整飭兵備」の肩書で軍務監察権を保持。総兵と管轄区域が重複する場合、道員は軍紀監察・兵備整備の権限を行使でき、総兵もその監督下に入った。ただし直接の指揮権はなく、協力関係に留まった。

第三に昇進上限では道員が圧倒的優位。総兵の最高位は従一品提督までで、文官転任や八旗武職昇格の道は閉ざされていた。一方、道員は按察使→布政使→巡撫・総督へと昇進可能で、中央の部院大臣(正一品)に至る道も開かれていた。

【総兵vs道員比較表】

 

比較項目

総兵(正二品)

道員(正四品)

定員数

83名

約100名

管轄範囲

2-5府の防区

2-4府の行政区

直属兵力

最大1万人

直接兵力なし

皇帝への奏聞権

あり

あり

他官庁監察権

なし

全省文武官監察

最高到達職

提督(従一品)

大学士(正一品)


形式的な品級では総兵が上だが、実権の幅広さ・昇進可能性・官僚システム内での影響力を考慮すると、道員が若干優位と言える。文官優位の統治システム下では、正四品文官が正二品武官を実質的に制約する構造が清代官僚制の特徴を表している。


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