商王朝はなぜ「早商」と「晩商」に分かれるのか？二つの段階にどのような違いがあるか？

「早商」と「晩商」という概念は現代考古学において生まれた、歴史上の商王朝の時代を説明するための比較的新しい用語だ。考古学的には、「早商」と「晩商」はそれぞれ「二里崗文化」と「殷墟文化」に対応し、政権の中心が鄭州二里崗商城にあった時期を早商、安陽殷墟に移った時期を晩商と区分している。

早商（二里崗文化）はさらに二里崗下層（2期に分かれる）と二里崗上層（2期に分かれる）に細分化され、晩商（殷墟文化）は1～4期に区分される。また、早商と晩商の間には「中商」と呼ばれる小双橋文化の時期が存在する。

この区分は主に支配地域の広がりと考古学的遺物の様相に基づいており、商代中期の動乱を経て、晩商は早商との連続性と断絶を併せ持つ。歴史的には殷への遷都を機に「殷」と呼ばれるようになった事実も、この分期の科学性を裏付ける材料となっている。
 

早商と晩商の主な対照表
 

早商の最大の特徴は急拡大した領土支配にある。成湯率いる下七垣文化が岳石文化と連合し、二里頭文化を駆逐して中原の覇権を掌握した。鄭州二里崗に建設された巨大都城（「亳」と推定）を中心に、山西・湖北に戦略拠点を展開。塩の供給ルートを握る東下馮商城（山西夏県）と銅鉱石の輸送拠点・盤龍城（湖北黄陂）が代表的な例だ。

早商主要拠点機能表
 

中商期の「九世の乱」では、小双橋遺跡から商人と東夷の戦闘痕跡が確認され、主要商城が次々と放棄される事態が発生。この混乱を経て晩商期には支配領域が黄河北岸に後退した。武丁王時代に西北の鬼方と和睦した後、商人は東夷への侵攻を本格化させる。

晩商の東方経営は新たな手法を採用した。山東蘇埠屯遺跡では、商人様式の青銅器（「亜醜」銘文）と在地土器が共存する「融合型」の文化が形成されている。この「在地化戦略」は後の周の封建制に影響を与えたと考えられる。

塩銅資源支配の変遷
 

殷墟文化は甲骨文字や精巧な青銅器（四羊方尊など）で知られるが、同時に大量の人殉葬（武官村大墓で164体）が特徴的。早商の開放性とは対照的に、晩商は軍事的色彩の強い閉鎖的社会へと変貌を遂げたと言えるだろう。