劉邦が漢朝を建て、劉秀も漢朝を建てたのに、同じ漢朝なのになぜ西漢と東漢に分ける必要があるのか

漢朝は歴史上輝かしい時代として記憶されています。劉邦と劉秀という二人の異なる歴史人物がそれぞれ漢朝を建国しましたが、後世の人々はこれらを「西漢」と「東漢」に区別しました。なぜ一つの王朝が二つの異なる部分に分けられるのでしょうか？

紀元前202年、楚漢戦争の最終決戦である垓下の戦いで劉邦が項羽を破ったことが中国史の流れを変えました。この歴史的瞬間が「漢の高祖」という称号をもたらし、漢朝成立の道を開きました。平民出身の劉邦は当初農民に過ぎませんでしたが、戦乱の中で頭角を現し、巧みな政治手腕と人的ネットワークを駆使して強敵・項羽を倒し新たな覇者となりました。これにより戦国時代の分裂状態が終結し統一時代が始まりました。

劉邦の統治戦略は現実的で、建国初期に急激な改革を行わず漸進的な政策を採用しました。主要な官職を設置し、側近と有能な将軍に権力を分配。分封制と郡県制を併用する制度で支配基盤を固めました。匈奴の脅威と諸侯の挑戦に直面しながらも、卓越した知恵で情勢を安定させました。
 

西漢の主要政策と数値データ
 

真の繁栄は文帝・景帝の治世「文景の治」に訪れ、寛容な政策で民衆負担を軽減しました。内外の安定と経済復興を経て武帝時代には中央集権強化と「推恩令」による諸侯王権力削減を実施。匈奴撃退とシルクロード開拓で西漢の影響力をアジアからヨーロッパにまで拡大しました。しかし長期の外征による重税と宦官・外戚の権力拡大が社会矛盾を生み出し、宣帝期には政治腐敗が蔓延しました。

西漢の危機要因と数値指標
 

西漢衰退の直接的要因は宦官干政と地方勢力の台頭にありました。王莽による新朝建国（8年）は社会混乱を招き、緑林軍・赤眉軍の反乱（17-25年）が全国に拡大。わずか15年で崩壊した新朝の混乱の中から、劉秀が漢室再興を掲げて台頭しました。地方官吏出身の劉秀は反乱軍を糾合し、25年に光武帝として即位。洛陽を都と定め東漢を開きました。

西漢と東漢の比較
 

光武帝は西漢制度を継承しつつ、刺史制度の強化（全国13州に配置）や均田制の導入で社会安定を図りました。税制改革では「三十税一」を復活させ、水利事業に年間20万労働力を投入。これにより「建武の治」と呼ばれる復興期を実現し、40年間で戸籍数300万戸から1000万戸に回復しました。

東漢の政策と実施効果
 

しかし2世紀に入ると外戚梁冀の専横（141-159年）や党錮の禁（166-184年）が発生。184年の黄巾の乱では36万の反乱軍が蜂起し、これ鎮圧に動員された地方軍閥が台頭。曹操が丞相として実権を掌握し、220年の曹丕による禅譲で東漢は滅亡しました。後漢末には戸籍数が500万戸に半減し、人口も2000万まで減少する社会的大混乱を招きました。

このように地理的（首都位置）・時間的（約200年隔たり）・政治体制（権力構造）の差異から、歴史家は両漢を区別して認識しています。西漢は秦制を継承した中原統一王朝として、東漢は豪族連合政権としての性格を強め、それぞれ異なる歴史的意義を有しているのです。