劉邦の最大の才能は何でしょうか？

最大の才能を特定するのは難しいですが、ひとつだけ言えるのは劉邦が持つ「ほぼ人間離れしたメンタルと精神状態」という極めて稀な才能です。彼の心のキャパシティは無限大のようで、人生は彼にとって本当にゲームのようにリラックスしたものだったと言えます。

そもそも最大の才能を選べない理由は、劉邦が人材の見極めと適切な決断力において完全無欠だったからです。彼は「いつ何をすべきか」「どこに誰を使うべきか」を理解していたということは、つまり彼がほぼ全てを理解していたことを示します。

例えば軍事を知らなければ、どうして韓信が戦に強いと分かるでしょうか？ 彼らが劉邦に従ったという事実は、劉邦が各分野において一流以上の理解力を持っていた証左です。

つまり劉邦は人材登用・決断・軍事・経済・政治など全分野で高い才能を発揮しましたが、彼の精神状態はその万能性よりもさらに珍しいものでした。

古今東西の権力者を見渡しても、重責に押しつぶされ、猜疑心や残忍さに蝕まれ、権力の傀儡と化す者がほとんどです。秦の始皇帝や漢の武帝のように不老不死を求めたり、スターリン（若き日はロマンチックで情熱的な人物だった）のように変質する例は枚挙に暇がありません。「高みは寒さに耐え難い」という言葉の通り、数万人の命運を左右する決断を下しながら、弱みを見せられない孤独は計り知れないものです。

建国の功臣たちを知る者なら、多くの将軍が戦後の精神的安定を失う現象をご存知でしょう。最良の選択をしたとしても、無数の犠牲者の重圧は想像を絶します。ましてや最高権力者である劉邦のプレッシャーは将軍たちを遥かに上回るものでした。しかし40代後半から権力の頂点を目指したこの男は、その圧力をまるで免疫があるかのように受け流したのです。

彼は暗黒に飲み込まれることも、残虐な血に飢えることもなく、あたかもブラックホールのように、どんなに巨大な天体（重責）でも跡形もなく吸収しました。地位が高まるほど消耗が激しいのは世の常で、名君と呼ばれる者たちも若い時の気力で踏みとどまるのが精一杯。体力が衰えればたちまち判断力を失います。

しかし劉邦は中年の身心で全てを引き受け続けました。彼が無情だったと言うなら、なぜ天下を治める野心を持ったのでしょうか。功名を求めたと言うなら、なぜ「父上を煮ればスープを分けてくれ」と項羽に言えるほど名声を気にしなかったのでしょうか。

彼はまるで世界の通りすがりの旅人のようで、高次元のゲーマーが気軽にゲームを楽しむように、刀のきらめきも偉業も全てが遊戯に過ぎないかのように振る舞いました。現実でゲーム1つに執着できない多くの人々とは対照的に、世俗にありながら超然とした境地を体現したのです。

【指導者メンタル比較表】